Honda CBR400RR(通称NC29)は、1990年代前半に登場したレーサーレプリカ系フルカウルスポーツの代表格です。400ccクラスながら本格的な倒立フォークやアルミフレームを採用し、当時の最先端技術が投入されたマシンです。現在では新車販売が終了して久しく、中古市場での流通が主ですが、いまだに熱烈なファンが多く「憧れの一台」として語られるモデルです。その一方で「維持の大変さ」「中古相場の高騰」によって後悔する人もいます。ここでは評判・評価をまとめ、今なお選ばれる理由を解説します。
CBR400RR(NC29)のスペック
| 項目 | CBR400RR(NC29)目安 |
|---|---|
| 年式 | 1990〜1994年頃(市場差あり) |
| 排気量 | 399 cc |
| エンジン形式 | 水冷 直列4気筒 DOHC 16バルブ(キャブ) |
| 最高出力 | 約59 PS / 12,500 rpm(新車時公称) |
| 最大トルク | 約39 Nm / 10,000 rpm(目安) |
| 装備重量 | 約165〜175 kg(仕様・個体差) |
| 燃料タンク容量 | 約15 L |
| 実測燃費(参考) | 15〜20 km/L(乗り方・整備状態に大きく依存) |
| 足まわり | 倒立フォーク/アルミフレーム/プロアーム(年式差) |
| ブレーキ | 前ダブル/後シングル(年式で径差あり) |
| 新車価格(当時) | 当時約60〜70万円台 |
| 現行中古相場 | 約70〜120万円超(状態・改造・履歴で大幅変動) |
NC29は水冷4ストローク並列4気筒DOHCエンジンを搭載し、最高出力は約59PS/最大トルク約39Nm。装備重量は約170kgと軽量で、当時としてもトップクラスのパワーウェイトレシオを誇ります。アルミツインチューブフレーム、倒立フロントフォーク、プロアーム式リアスイングアームなど、豪華装備を備えています。燃料タンク容量は15Lで、実測燃費は約15〜20km/L程度。高回転型エンジンのため、街乗りでは扱いにくさもありますが、サーキット走行では高評価を得ていました。
オススメな人
| こんな人にオススメ | 理由 |
|---|---|
| 90年代レーサーレプリカの世界観を味わいたい人 | 高回転四気筒と当時装備の魅力が“所有満足”の評価を押し上げます。 |
| ワインディングやサーキット走行を趣味にする人 | 軽量×高回転の特性が活き、走りの評判が高いからです。 |
| 整備やレストアを楽しめる人 | 部品入手や調整を楽しめれば後悔しにくく、長く付き合えます。 |
| オリジナル派・アップデート派いずれも歓迎 | ノーマル維持も現代化も“まとめて”楽しめる懐の深さがあります。 |
CBR400RRは以下のような人におすすめです:
- 90年代レーサーレプリカのデザインやフィーリングを楽しみたい人
- 高回転4気筒サウンドを体験したい人
- サーキットやワインディング走行を趣味にしている人
- 整備や維持管理に手間を惜しまない人
「旧車を愛でる楽しみ」が理解できる人にとって、後悔の少ない相棒となります。
後悔するポイント
| 後悔ポイント | 具体例/回避策 |
|---|---|
| 部品供給の難しさ | 外装・電装・キャブ部品が入手難。リプロ/中古/流用ルートを事前に確保。 |
| 整備コストと手間 | キャブ同調や足回りOHなど必須作業が多い。購入時に整備履歴を精査。 |
| 燃費・街乗り適性 | 高回転型で15〜20 km/L程度。通勤主体だと疲れと費用がかさみ後悔要因に。 |
| 中古価格の高騰 | 上玉は100万円超も。相場把握と予備費を“まとめて”計上して判断。 |
一方で、購入後に後悔するケースもあります:
- 中古相場が高騰し、程度の良い個体は100万円近くすることも
- 部品供給が不安定で、消耗品や外装は入手困難
- 燃費は現代車に比べて悪く、街乗りでは約15km/L程度
- 高回転エンジンゆえ低速トルクが薄く、渋滞路や通勤には不向き
これらを理解せずに「懐かしさ」だけで購入すると後悔しやすいです。
壊れやすさ
| 部位/項目 | 傾向 | メンテのコツ |
|---|---|---|
| 電装(レギュ/ハーネス/点火) | 経年不良が定番 | 電圧監視・配線手直し・強化品/リビルドの活用。 |
| 燃料/吸気(キャブ/負圧系) | 詰まり・二次エア | O/H・同調・ホース/シール更新で安定。 |
| 足回り(フォーク/リンク) | シール劣化・ヘタリ | 定期O/H・ブッシュ/ベアリング打ち替え推奨。 |
| 冷却/シール類 | 滲み/漏れ | ホース/クランプ/ポンプ点検と早期交換。 |
30年以上前の車両のため、壊れやすいと言わざるを得ません。特に電装系(レギュレーター、CDI)、キャブレターの不調、サスペンションのヘタリなどは定番です。部品取り車やリプロパーツを確保しておくと安心です。エンジン自体は丈夫ですが、メンテ履歴が不明な個体はリスクが高いので注意が必要です。
カスタムパーツ
| 方向性 | 代表例 | 効果 |
|---|---|---|
| オリジナル維持 | 純正相当パーツ/外装補修 | 価値維持と当時の乗り味を再現。評価も安定。 |
| 現代化アップデート | ステンメッシュ/マスター強化/LED | 制動力と視認性が向上し、後悔ポイントを軽減。 |
| 走行性能向上 | サスO/H&セット/ハイグリップ | ワインディングの安心感と楽しさが大幅アップ。 |
| サウンド/軽量化 | 社外マフラー(保安基準遵守) | 高回転の魅力を引き出し、所有満足を強化。 |
CBR400RRは生産終了から長い時間が経過していますが、以下のようなカスタムが人気です:
- 社外マフラー(高回転サウンド強調)
- サスペンションのオーバーホール・現行流用
- ブレーキホースやマスターの現代化
- LEDライトや電装強化
「オリジナル維持」か「現代風アップデート」かで方向性が分かれます。
ライバル比較
| 項目 | CBR400RR(NC29) | Kawasaki ZXR400 | Yamaha FZR400RR | Suzuki GSX-R400R |
|---|---|---|---|---|
| キャラクター | バランス型レプリカ | 高回転・鋭い | コーナリング巧者 | 軽量ピーキー |
| 出力/特性 | 約59PS/高回転型 | 同等/高回転寄り | 同等/レスポンス鋭い | 同等/ピーキー |
| 整備難易度 | 中(プロ推奨) | 中〜高 | 中 | 中〜高 |
| 部品調達性 | 難〜中(流用/中古) | 難(競技流用あり) | 難〜中 | 難 |
| 街乗り適性 | △〜◯ | △ | △〜◯ | △ |
| 希少性/相場 | 高め(上玉高騰) | 高め | 中〜高 | 中〜高 |
同時代のライバルはKawasaki ZXR400、Yamaha FZR400RR、Suzuki GSX-R400Rです。
- ZXR400:高回転型でサーキット志向が強い
- FZR400RR:ヤマハらしいコーナリング性能と高回転サウンド
- GSX-R400R:軽量でピーキーな特性
- CBR400RR:バランス型で扱いやすいが、整備性はやや難あり
「総合力」ではCBR400RRが優れると評判ですが、現存個体数は少なくなっています。
口コミ
| 良い口コミ | 悪い口コミ |
|---|---|
| 「高回転サウンドが病みつき」「軽くてよく曲がる」「当時装備が今でも光る」 | 「部品が入手困難」「整備費がかかる」「街乗り燃費が厳しい」 |
良い口コミ:
「当時の技術が詰まった名車」「高回転サウンドが最高」「軽量でワインディングが楽しい」
悪い口コミ:
「部品が手に入りにくい」「維持費が高い」「普段使いには燃費が悪い」
評価
| 評価項目 | 星 | コメント |
|---|---|---|
| 走行性能(当時比) | ★★★★★ | 軽量×高回転でワインディングが痛快です。 |
| 街乗り実用性 | ★★☆☆☆ | 燃費・低速トルク・熱などで妥協が必要です。 |
| 整備性/維持難度 | ★★★☆☆ | プロ/経験者のサポートで不安は軽減します。 |
| 希少性/所有満足 | ★★★★★ | コレクタブルとしての魅力が強く評価されます。 |
| 総合評価 | ★★★★☆ | 趣味性を理解すれば後悔しにくい“名車”です。 |
総合評価は「★★★★☆」です。旧車ならではのリスクはあるものの、レーサーレプリカ世代の象徴としていまだに高い評価を受けています。特に「所有満足度」は非常に高いモデルです。
中古市場
| 状態/仕様 | 価格目安 | 狙い目ポイント | 注意点 |
|---|---|---|---|
| フルノーマル・上質 | 約95〜120万円超 | 希少・将来価値が期待 | 外装の経年・フレーム刻印/書類の正当性確認。 |
| 軽いカスタム・良好 | 約80〜100万円 | 実用性と価格のバランス | 純正戻し可否・改造内容の法規適合を確認。 |
| 要整備/距離多め | 約60〜80万円 | 整備前提で割安 | エンジン圧縮・電装・足回りO/H費用を“まとめて”見積もり。 |
中古市場では玉数が減少しており、価格は年々上昇傾向にあります。程度の良いフルノーマル車はプレミア化しており、100万円を超えるケースも。安価な個体は修復歴や欠品が多いため注意が必要です。状態の良いものを探すには専門ショップや旧車イベントでのネットワークが重要です。
まとめ
Honda CBR400RR(NC29)は「90年代レーサーレプリカの頂点のひとつ」として、今も高い評価を受ける伝説的モデルです。高回転4気筒の爽快感、当時の最先端装備、そして希少性が魅力ですが、維持や部品調達の難しさは避けられません。「趣味バイク」として理解したうえで選べば、後悔の少ない最高の相棒になります。




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