原付スクーターは日本の街中で最も身近な移動手段のひとつです。軽量で扱いやすく、維持費も安いため、学生から高齢者、さらに業務用としても幅広く利用されています。ただし、50ccのスクーターと一口に言っても、その最高速度はモデルごとに異なります。法定速度は30km/hに制限されていますが、実際に走行してみるとモデルによっては余裕を持って50km/h以上出るものもあれば、重量や積載性を優先した結果、最高速が極端に伸びないものもあります。
本記事では、国内で現行販売されている50ccスクーターを対象に、実際に計測されたデータを重視して「最高速が遅いモデル」をランキング形式で紹介します。業務用から買い物向けモデルまで、意外なスクーターが並んでいるので参考にしてみてください。
最高速が遅い原付スクーターランキング一覧
| 順位 | モデル名 | メーカー | 実測最高速 | カタログ最高速 | 車両重量 | エンジン形式 | 最高出力 | タンク容量 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | ジャイロキャノピー | ホンダ | 約45〜50 km/h | ―(法定30 km/h) | 139 kg | 水冷 4スト 単気筒 OHC | 4.6 PS / 7,500 rpm | 7.3 L |
| 2位 | ベンリィ50 プロ | ホンダ | 約50 km/h | ―(法定30 km/h) | 114 kg | 水冷 4スト 単気筒 OHC | 4.4 PS / 7,750 rpm | 10.0 L |
| 3位 | ジャイロX スタンダード | ホンダ | 約50〜55 km/h | ―(法定30 km/h) | 113 kg | 水冷 4スト 単気筒 OHC | 4.6 PS / 7,500 rpm | 5.0 L |
| 4位 | ニュースギア | ヤマハ | 約50〜55 km/h | ―(法定30 km/h) | 104 kg | 水冷 4スト 単気筒 SOHC 3バルブ | 4.3 PS / 8,500 rpm | 7.5 L |
| 5位 | ベンリィ50 | ホンダ | 約50〜55 km/h | ―(法定30 km/h) | 110 kg | 水冷 4スト 単気筒 OHC | 4.4 PS / 7,750 rpm | 10.0 L |
| 6位 | ジャイロX ベーシック | ホンダ | 約50〜55 km/h | ―(法定30 km/h) | 110 kg | 水冷 4スト 単気筒 OHC | 4.6 PS / 7,500 rpm | 5.0 L |
| 7位 | レッツ バスケット | スズキ | 約47〜52 km/h | ―(法定30 km/h) | 76 kg | 空冷 4スト 単気筒 OHC | 3.7 PS / 8,500 rpm | 4.8 L |
| 8位 | ギア スタンダード | ヤマハ | 約55 km/h | ―(法定30 km/h) | 98 kg | 水冷 4スト 単気筒 SOHC 3バルブ | 4.3 PS / 8,500 rpm | 7.5 L |
| 9位 | アドレスV50 | スズキ | 約50〜55 km/h | ―(法定30 km/h) | 74 kg | 空冷 4スト 単気筒 OHC | 3.7 PS / 8,500 rpm | 4.8 L |
| 10位 | レッツ | スズキ | 約50〜55 km/h | ―(法定30 km/h) | 70 kg | 空冷 4スト 単気筒 OHC | 3.7 PS / 8,500 rpm | 4.8 L |
第1位:ホンダ ジャイロキャノピー

| モデル名 | ホンダ ジャイロキャノピー |
|---|---|
| メーカー | ホンダ |
| 実測最高速 | 約 45〜50 km/h(平地) |
| カタログ最高速 | ―(法定速度 30 km/h) |
| 車両重量 | 約 139 kg |
| エンジン形式 | 水冷 4スト 単気筒 OHC(49cc) |
| 最高出力 | 約 4.6 PS / 7,500 rpm |
| タンク容量 | 約 7.3 L |
ホンダのジャイロキャノピーは、宅配ピザやデリバリーでおなじみの屋根付き三輪スクーターです。ルーフと大型のウィンドスクリーンが装備されているため、雨や風に強く、全天候型のスクーターとして高い支持を集めています。しかしその反面、車重は139kgと非常に重く、さらにルーフによる空気抵抗が加わるため、平地での実測最高速はおよそ45〜50km/hにとどまります。エンジンは49ccの水冷4スト単気筒で最高出力4.6PSを発揮しますが、重量とのバランスから高速走行は苦手です。安定性と実用性を優先するプロユース向けの一台と言えるでしょう。
第2位:ホンダ ベンリィ50 プロ

| モデル名 | ホンダ ベンリィ50 プロ |
|---|---|
| メーカー | ホンダ |
| 実測最高速 | 約 50 km/h 前後 |
| カタログ最高速 | ―(法定速度 30 km/h) |
| 車両重量 | 約 114 kg |
| エンジン形式 | 水冷 4スト 単気筒 OHC(49cc) |
| 最高出力 | 約 4.4 PS / 7,750 rpm |
| タンク容量 | 約 10.0 L |
ホンダのベンリィ50プロは、新聞配達や郵便配達など業務用途に特化したスクーターです。大型の前カゴとリアデッキを備えており、一度に大量の荷物を運ぶことが可能です。燃料タンクも10Lと大容量で、長時間の業務運用を意識した作りになっています。しかし、車両重量は114kgと原付クラスとしては非常に重く、その結果最高速は実測で50km/h前後しか出ないことが多いのが特徴です。エンジンは水冷4スト単気筒で最高出力4.4PSを発揮しますが、加速や登坂は積載重視のセッティングになっており、高速域では頭打ちになります。速度よりも積載性を求める人に向いたモデルです。
第3位:ホンダ ジャイロX スタンダード

| モデル名 | ホンダ ジャイロX スタンダード |
|---|---|
| メーカー | ホンダ |
| 実測最高速 | 約 50〜55 km/h |
| カタログ最高速 | ―(法定速度 30 km/h) |
| 車両重量 | 約 113 kg |
| エンジン形式 | 水冷 4スト 単気筒 OHC(49cc) |
| 最高出力 | 約 4.6 PS / 7,500 rpm |
| タンク容量 | 約 5.0 L |
ホンダ ジャイロX スタンダードは、キャノピーから屋根を省いた三輪スクーターです。三輪構造による抜群の安定感と荷物を積んだ際の安定性が魅力ですが、車重は113kgと重く、やはり最高速は伸びません。搭載される49cc水冷4スト単気筒エンジンは最高出力4.6PSを発揮しますが、実測での最高速度はおよそ50〜55km/hが限界とされています。空気抵抗がキャノピーよりは少ない分、若干伸びることもありますが、それでも一般的な二輪スクーターと比べればスピード性能は低めです。街中での配達や低速安定性を重視する用途に適しています。
第4位:ヤマハ ニュースギア

| モデル名 | ヤマハ ニュースギア |
|---|---|
| メーカー | ヤマハ |
| 実測最高速 | 約 50〜55 km/h |
| カタログ最高速 | ―(法定速度 30 km/h) |
| 車両重量 | 約 104 kg |
| エンジン形式 | 水冷 4スト 単気筒 SOHC 3バルブ(49cc) |
| 最高出力 | 約 4.3 PS / 8,500 rpm |
| タンク容量 | 約 7.5 L |
ヤマハのニュースギアは新聞配達向けに作られたビジネススクーターです。大きな前カゴと積載性の高さを備え、頻繁な停車と発進を繰り返す業務に特化しています。車両重量は104kgと重めで、搭載する水冷4スト単気筒エンジンは4.3PSを発揮しますが、実測での最高速はおよそ50〜55km/h程度。ノーマル状態では50km/h前後で頭打ちになりやすく、エンジン回転数の上限に達すると伸びが鈍くなります。高速性能よりも耐久性と積載性に重きを置いた設計となっており、まさに働くバイクの代表格です。
第5位:ホンダ ベンリィ50

| モデル名 | ホンダ ベンリィ50 |
|---|---|
| メーカー | ホンダ |
| 実測最高速 | 約 50〜55 km/h |
| カタログ最高速 | ―(法定速度 30 km/h) |
| 車両重量 | 約 110 kg |
| エンジン形式 | 水冷 4スト 単気筒 OHC(49cc) |
| 最高出力 | 約 4.4 PS / 7,750 rpm |
| タンク容量 | 約 10.0 L |
ベンリィ50はプロ仕様から大型バスケットなどを省いたベーシックな業務用モデルです。重量は110kgとやや軽くなっているものの、それでも一般的なスクーターと比べれば重いため、最高速は実測で50〜55km/h程度にとどまります。搭載されるエンジンは水冷4スト単気筒で最高出力4.4PS。低速トルクを重視したセッティングになっているため、加速や巡航は安定していますが、高速域での余裕はありません。業務用としての使いやすさや耐久性を備えているため、日常の足としても利用できますが、速さを求める人には向きません。
第6位:ホンダ ジャイロX ベーシック

| モデル名 | ホンダ ジャイロX ベーシック |
|---|---|
| メーカー | ホンダ |
| 実測最高速 | 約 50〜55 km/h(条件により〜55 km/h前後) |
| カタログ最高速 | ―(法定速度 30 km/h) |
| 車両重量 | 約 110 kg |
| エンジン形式 | 水冷 4スト 単気筒 OHC(49cc) |
| 最高出力 | 約 4.6 PS / 7,500 rpm |
| タンク容量 | 約 5.0 L |
ジャイロX ベーシックはスタンダード仕様からフロントスクリーンなどを省いた軽量版です。重量は110kgとスタンダードより若干軽いですが、実測での最高速はほとんど変わらず、50〜55km/h程度に留まります。エンジンは同じく49cc水冷4スト単気筒で4.6PSを発揮します。三輪の安定性を持ちながら、スクリーンがないことで視界が広く、取り回しもしやすい点が特徴です。安定性や積載性を重視しつつ、少しでも軽快さを求める人に適しています。
第7位:スズキ レッツ バスケット

| モデル名 | スズキ レッツ バスケット |
|---|---|
| メーカー | スズキ |
| 実測最高速 | 約 47〜52 km/h(整備後で〜55 km/h例あり) |
| カタログ最高速 | ―(法定速度 30 km/h) |
| 車両重量 | 約 76 kg |
| エンジン形式 | 強制空冷 4スト 単気筒 OHC(49cc) |
| 最高出力 | 約 3.7 PS / 8,500 rpm |
| タンク容量 | 約 4.8 L |
スズキのレッツ バスケットは、名前の通り大型フロントバスケットを標準装備したモデルです。買い物用途を強く意識しており、重量は76kgと同社のレッツよりもやや重めです。エンジンは49cc空冷4スト単気筒で3.7PSを発揮しますが、バスケットによる空気抵抗の影響もあり、実測での最高速は45〜52km/h程度にとどまります。街中での買い物や短距離移動に特化しており、スピード性能を求める人には物足りませんが、実用性では高く評価されています。
第8位:ヤマハ ギア スタンダード

| モデル名 | ヤマハ ギア(スタンダード) |
|---|---|
| メーカー | ヤマハ |
| 実測最高速 | 約 55 km/h 前後 |
| カタログ最高速 | ―(法定速度 30 km/h) |
| 車両重量 | 約 98 kg |
| エンジン形式 | 水冷 4スト 単気筒 SOHC 3バルブ(49cc) |
| 最高出力 | 約 4.3 PS / 8,500 rpm |
| タンク容量 | 約 7.5 L |
ヤマハのギア スタンダードは、ニュースギアから新聞配達用の装備を省いた基本モデルです。重量は98kgとニュースギアより軽いですが、エンジンは同じく49cc水冷4スト単気筒で4.3PSを発揮し、最高速は実測で55km/h前後。ニュースギア同様にリミッターや出力特性によってスピードは控えめで、積載性と安定性に重点を置いた設計になっています。業務用としての信頼性が高く、個人ユースでも頑丈さを重視する人におすすめです。
第9位:スズキ アドレスV50

| モデル名 | スズキ アドレスV50 |
|---|---|
| メーカー | スズキ |
| 実測最高速 | 約 50〜55 km/h |
| カタログ最高速 | ―(法定速度 30 km/h) |
| 車両重量 | 約 74 kg |
| エンジン形式 | 強制空冷 4スト 単気筒 OHC(49cc) |
| 最高出力 | 約 3.7 PS / 8,500 rpm |
| タンク容量 | 約 4.8 L |
スズキ アドレスV50は軽量でコンパクトなスクーターです。重量は74kgと軽く、扱いやすいのが魅力ですが、搭載する空冷4スト単気筒エンジンの最高出力は3.7PSと控えめで、実測の最高速は50〜55km/hにとどまります。軽快な加速性能は持ち味ですが、伸びは期待できません。通勤通学や買い物など街乗りに適しており、燃費性能や経済性を重視する人に向いています。
第10位:スズキ レッツ

| モデル名 | スズキ レッツ |
|---|---|
| メーカー | スズキ |
| 実測最高速 | 約 50〜55 km/h(平地で頭打ち〜50台中盤) |
| カタログ最高速 | ―(法定速度 30 km/h) |
| 車両重量 | 約 70 kg |
| エンジン形式 | 強制空冷 4スト 単気筒 OHC(49cc) |
| 最高出力 | 約 3.7 PS / 8,500 rpm |
| タンク容量 | 約 4.8 L |
スズキのレッツはシンプルさと低価格が魅力の原付スクーターです。重量は70kgと非常に軽量で、扱いやすさは抜群です。エンジンは空冷4スト単気筒で3.7PSを発揮しますが、最高速は実測で50〜55km/h程度。平地では50km/h付近で頭打ちになることもあり、速度性能は最低限に抑えられています。街乗りの「ちょい乗り」には十分で、価格や取り回しのしやすさを重視する層に人気があります。
まとめ
今回紹介した現行50ccスクーターの中で最高速が遅いモデルは、いずれも業務用や積載重視のモデル、もしくは軽量・低価格に特化したモデルでした。ジャイロシリーズやベンリィ、ギアのように重量が重く設計上スピードを犠牲にしているモデルが上位を占めています。一方でレッツやアドレスV50のような軽量スクーターも、出力が控えめなため結果として最高速は50〜55km/hに収まっています。
原付スクーターを選ぶ際には「速さ」ではなく、自分の用途に合った特性を重視することが大切です。配達や荷物の運搬なら積載性重視のビジネスモデル、街乗り中心なら軽量で取り回しやすいモデルが適しています。最高速が遅いことは必ずしもデメリットではなく、法定速度を守りつつ安全に走れるという利点でもあるのです。













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