これまでFujifilmやSony、Panasonicなど複数のメーカーのカメラを使ってきましたが、Leicaの「SL2-S」を手にしたときの感覚は、他のカメラとは明らかに違いました。単にスペックや画質だけでなく、シャッターを切る一瞬や、金属ボディの質感、操作の一つひとつに「所有する喜び」が詰まっています。初めて持ち出した日は、ただ街を歩いているだけで撮影意欲が湧き、結果的にシャッター枚数が倍以上になっていたほど。高級機ならではの安心感と、撮影が楽しくなる“魔力”のようなものが、このカメラにはあります。
このカメラの特徴と第一印象
SL2-Sは、有効約2,400万画素のフルサイズCMOSセンサーを搭載し、高感度耐性と暗所撮影の強さを重視したモデルです。兄弟機のSL2が高解像モデルであるのに対し、SL2-Sは解像度よりもオールラウンド性能を優先。
初期設定時に感じたのはUIのわかりやすさで、タッチ操作も滑らか。物理ボタンは少なめながら、直感的に設定変更できるインターフェースが印象的でした。
外観は重厚な金属ボディで、防塵防滴仕様。手に持つとずっしりとした重さがあり、撮影の安定感と高級感を同時に感じられます。
実際に使って良かった点(強み)

高感度耐性が抜群
ISO感度を上げてもノイズが非常に少なく、暗所や夜景撮影でもディテールをしっかり残せます。
色の深みと階調表現
ライカらしい深みのある色再現と、なだらかな階調が風景やポートレートで美しく映えます。
優れた動画性能
4K60p 10bit記録や、無制限記録対応で、シネマライクな映像も撮影可能。
堅牢なボディ構造
金属削り出しの重厚感、防塵防滴仕様でどんな環境でも安心して持ち出せます。
UIと操作性の快適さ
メニュー構成がシンプルで、カスタマイズ性も高く、現場での操作がスムーズ。
使って気になった点(弱み)

重量が重め(約931g)
長時間の手持ち撮影では腕に疲労を感じやすい。
AF速度は競合に劣る場面あり
特に暗所や被写体追従では、Sony α7 IVやCanon R6 IIに一歩及ばない印象。
レンズ価格が高い
SLレンズは性能抜群だが高額で、システム構築コストがかさむ。
バッテリー消費が早め
動画撮影や高解像度連写ではバッテリー消耗が目立つ。
本体価格が高額
カメラ単体で約80万円前後と、他社の同クラスより高め。
スペック表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| センサー | フルサイズCMOS 24MP |
| 動画性能 | 4K60p 10bit / 無制限記録 |
| 手ブレ補正 | 5軸IBIS(最大約5.5段) |
| 重量 | 約931g(バッテリー込) |
| バッテリー | BP-SCL4、約510枚(CIPA) |
| 平均価格 | 約78〜82万円(2025年8月時点) |
他機種との比較(Leica SL2・Panasonic LUMIX S5II・Sony α7 IV)
| 機種 | センサー | 解像度 | 動画性能 | 重量 | 価格(2025年8月) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Leica SL2-S | フルサイズ CMOS | 24MP | 4K60p 10bit 無制限 | 931g | 約80万円 | 暗所性能と動画性能重視の万能機 |
| Leica SL2 | フルサイズ CMOS | 47MP | 5K30p / 4K60p | 928g | 約95万円 | 高解像静止画特化型 |
| Panasonic LUMIX S5II | フルサイズ CMOS | 24MP | 6K30p / 4K60p | 740g | 約28万円 | コスパ抜群の動画・静止画ハイブリッド |
| Sony α7 IV | フルサイズ BSI CMOS | 33MP | 4K60p(Super35) | 659g | 約34万円 | 高性能AFと万能性で人気 |
購入者の口コミまとめ
| 良い口コミ | 悪い口コミ |
|---|---|
| 色表現が素晴らしく、撮って出しでも十分美しい | 重量が重く長時間の持ち歩きには不向き |
| 動画の画質と階調がシネマライク | AFが他社に比べて遅い場面がある |
| UIがシンプルで使いやすい | レンズが高価で揃えづらい |
このカメラはこんな人におすすめ!
暗所や夜景撮影を多用するフォトグラファー シネマライクな動画制作を行う映像クリエイター 堅牢性と防塵防滴性能を重視するアウトドア派 ライカの色再現に魅力を感じる人 所有欲を満たす高級機を求めるユーザー
まとめ
Leica SL2-Sは、派手な高解像度や最新AF性能ではなく、「撮影体験の質」を徹底的に磨き上げたカメラです。静止画も動画も高いレベルでこなし、特に色再現や暗所性能は他社にはない個性を発揮します。
ただし、重量や価格、レンズコストなど導入ハードルは高め。予算や撮影スタイルに合えば、長く愛用できる一生モノの相棒になるでしょう。



