Leica TL2を手にした瞬間、その独特のデザインに思わず見惚れました。私はこれまでSONYやFujifilm、CanonなどのAPS-Cミラーレスをいくつも使ってきましたが、このカメラは全く別物です。
アルミ削り出しのユニボディ、まるでApple製品を思わせる滑らかな質感。そして、極限までミニマルに削ぎ落とされた操作系。
初めて持ち出した日は、近所のカフェと街歩きが撮影のメインでしたが、持っているだけで“カメラを楽しんでいる感覚”が味わえる不思議な存在でした。正直、スペック的に突出しているわけではありませんが、この所有感と撮影体験は他では得られないと感じます。
特徴と第一印象
Leica TL2は、APS-Cセンサーを搭載したミラーレスカメラで、デザインは徹底してシンプル。ボタン類をほとんど排し、大きなタッチスクリーンで操作する仕様です。
初期設定は驚くほど簡単で、タッチパネルのレスポンスもスマホ並みにスムーズ。UIは直感的で、説明書をほとんど見なくても設定できます。
また、Lマウントを採用しているため、Leica、Sigma、PanasonicのLマウントレンズを装着可能。ただしLeica純正レンズは価格が高く、選ぶ段階で少し悩みます。
実際に使って良かった点(強み)

圧倒的なビルドクオリティと所有感
手に取った瞬間から感じる冷たい金属の感触と、アルミ削り出しの滑らかなエッジ。この精密さは、他の量産ミラーレスとは一線を画します。数ヶ月使っても外装の傷がつきにくく、まるで工芸品を手にしているような感覚。
デザイン性の高さとシンプルさ
不要なボタンや突起を極限まで省いたミニマルデザインは、撮影に集中できる環境を自然と作り出してくれます。使えば使うほど、このシンプルさが快適に感じられ、カメラの存在を意識せず被写体に没入できます。
大型タッチスクリーンによる直感的操作
ほぼ全操作が背面の大型タッチパネルで完結するため、まるでスマホを扱うような感覚。メニュー階層も浅く、設定変更も指先ひとつ。初めて触れる人でも、数分で主要機能を覚えられます。
Leicaらしい色再現と階調表現
JPEG撮って出しの色味は非常に自然で、特に肌色や風景のグラデーションが柔らかく表現されます。彩度やコントラストが過剰にならず、後処理の手間を大きく省けます。夕景や街灯の下での撮影でも階調が豊かで、光の雰囲気を損なわずに写し取れます。
携帯性の高さ
約399gという軽量ボディは、旅行や日常スナップに最適。斜め掛けしていても疲れにくく、カメラバッグではなく小型ショルダーにも収まるサイズ感です。レンズ次第ではさらに軽快なセットアップが可能です。
使って気になった点(弱み)

価格とスペックのバランス
新品価格はAPS-Cミラーレスとしては突出して高額で、性能面だけを見ると他メーカーのハイエンド機と比較して割高感があります。あくまでデザインやブランド価値に共感できる人向け。
ボディ内手ブレ補正の非搭載
暗所や低速シャッターではブレやすく、ISO感度を上げざるを得ない場面が多くなります。特に単焦点レンズを使う場合は、手持ち撮影にコツや意識が必要です。
AF速度と追従性能の物足りなさ
静止画スナップでは十分ですが、動体撮影では迷いやすく、最新の高速AF機に慣れている人にはストレスになることがあります。特に暗所では合焦までにワンテンポ遅れる感覚。
バッテリー持ちの短さ
250枚前後でバッテリーが尽きるため、日帰りの撮影でも予備が必須。タッチパネル常時使用による消費もあり、長時間の連続撮影には向きません。
動画性能の控えめさ
4K撮影は可能ですが、手ブレ補正がないため実用性は限定的。音声周りも簡易的で、動画メインのユーザーには不十分と感じられるでしょう。
Leica TL2のスペック表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| センサー | APS-C CMOSセンサー(約2,400万画素) |
| 動画性能 | 4K30p / FHD60p |
| 手ブレ補正 | なし(レンズ側で対応) |
| 重さ | 約399g(バッテリー込) |
| バッテリー | BP-DC13、約250枚撮影 |
| 平均価格 | 約27〜30万円(2025年8月時点・新品) |
他機種との比較(Leica CL・Fujifilm X-T5・α6700)
| 機種 | センサー/画素 | 手ブレ補正 | EVF | AF/被写体認識 | 動画 | 重量 | 実勢価格(2025年8月) | ひとことで |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Leica TL2 | APS-C 24MP(Lマウント) | なし(レンズ側依存) | 内蔵なし(外付けVisoflex対応) | コントラストAF/認識なし | 4K30p / FHD60p | 約399g | 約27〜30万円 | 極薄ミニマル&タッチ操作特化のデザイン機 |
| Leica CL | APS-C 24MP(Lマウント) | なし(レンズ側依存) | 内蔵 236万ドット | コントラストAF/認識なし | 4K30p / FHD60p | 約403g | 約30〜35万円 | クラシック外観+内蔵EVFのスナップ向け |
| Fujifilm X-T5 | APS-C 40MP X-Trans(Xマウント) | 5軸IBIS(最大約7段) | 内蔵 369万ドット | 位相差AF/被写体認識対応 | 6.2K30p・4K60p・FHD240p | 約557g | 約23〜25万円 | 高解像&機動力の静止画寄りハイエンド |
| Sony α6700 | APS-C 26MP 裏面照射(Eマウント) | 5軸IBIS(約5段) | 内蔵 236万ドット | 位相差AF/AI被写体認識 | 4K60p(6Kオーバーサンプル)・4K120p*・FHD240p | 約493g | 約20〜22万円 | 動画も静止画も強い万能APS-C |
*4K120pはクロップあり。
購入者の口コミまとめ
| 良い口コミ | 悪い口コミ |
|---|---|
| デザインが美しく所有欲を満たす | 価格が高く性能面では割高感 |
| タッチ操作が直感的で使いやすい | AFが最新機種に劣る |
| 質感が高く撮影が楽しい | バッテリー持ちが短い |
このカメラはこんな人におすすめ!
デザイン性と所有感を最優先する人 街歩きスナップが好きな人 シンプル操作で写真に集中したい人 Leicaの世界観を味わいたい人 コレクション目的でカメラを所有したい人
まとめ
Leica TL2は、最新スペック競争とは別の軸で存在するカメラです。機能や価格を冷静に比較すると割高に感じるかもしれませんが、手にした瞬間に感じる特別感、撮影体験の楽しさは唯一無二。
写真機としてだけでなく、持つ喜びやデザインの美しさも大切にしたい方にとっては、この上ない相棒になるでしょう。



