Sony FX30は2022年に登場した、ソニーの「Cinema Line」に属するAPS-Cサイズのシネマカメラです。フルサイズモデルFX3の弟分ともいえる存在で、より手頃な価格でシネマライクな映像制作を実現できるのが特徴。実際に数日間使ってみて感じたのは「映画のような映像を、コンパクトに持ち出せる楽しさ」でした。カメラ本体は約646gと軽量ながら、10bit 4:2:2内部記録やS-Log3、Cine EIなどプロの現場でも通用する仕様を搭載。動画クリエイターやYouTuberにとって、フルサイズに比べ負担の少ないAPS-Cセンサーで、本格的な映像制作に挑めるカメラとして非常に魅力的です。
特徴と第一印象
初めてFX30を手にしたときの印象は「これが本当にAPS-C機なのか」というほどの完成度でした。外観はFX3とほぼ同じで、シネマカメラらしく冷却ファンを内蔵し、長時間収録にも対応。ISO感度性能はフルサイズほどではないものの、デュアルベースISOにより暗所性能も十分。さらに、ユーザーが喜ぶのは豊富な映像モードで、S-Cinetoneを使えばカラーグレーディングなしでも映画のような映像が撮影できます。実際にショートフィルムを撮影した際、肌の階調が非常に自然で「シネマラインの画作り」を存分に楽しめました。
実際に使って良かった点
Cinema Lineの画質を手軽に体験できる
S-CinetoneやS-Log3を搭載し、グレーディング耐性が非常に高く、映像制作者に最適。
小型軽量で扱いやすい
FX3と同じ外観ながらAPS-Cのため価格も抑えめ。持ち出しやジンバル撮影に便利。
冷却ファン搭載で長時間収録に対応
動画撮影時のオーバーヒートを防ぎ、4K長回し撮影でも安心。
プロ仕様の映像フォーマット
10bit 4:2:2内部記録やCine EIモードに対応し、編集時の自由度が高い。
豊富な拡張性
1/4インチネジ穴を多く搭載し、リグなしでもマイクやアクセサリーを装着可能。
実際に使って気になった点
APS-Cゆえのボケ量の少なさ
フルサイズ機に比べ、シネマ的な浅い被写界深度は得にくい。
写真性能は限定的
静止画撮影も可能ですが、設計はあくまで動画特化。スチル用途には不向きです。
低照度性能はフルサイズに劣る
デュアルISOを備えるものの、暗所でのノイズ耐性はFX3に一歩譲ります。
初心者にはやや難しい操作体系
Cine EIやLog撮影は知識がないと扱いづらく、学習コストが必要。
価格はAPS-Cとしては高め
実売価格は約25万円前後。静止画メインのユーザーには割高に感じられるかも。
スペック表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発売日 | 2022年10月 |
| センサー | APS-C 裏面照射型CMOS |
| 有効画素数 | 約2600万画素 |
| 動画性能 | 4K120p / 10bit 4:2:2内部記録 |
| 冷却機構 | ファン内蔵 |
| 重量 | 約646g(バッテリー・カード込) |
| 価格 | 約25万円前後(2025年時点) |
FX30のスペックから分かるのは、コンパクトなAPS-Cボディにプロ仕様の映像機能を凝縮している点です。4K120pや10bit記録に対応し、シネマライクな映像制作を本格的に始めたいクリエイターにとって頼れる機材となっています。
他機種との比較
| モデル | センサー | 動画性能 | 特徴 | 価格目安 |
|---|---|---|---|---|
| Sony FX30 | APS-C 2600万画素 | 4K120p / 10bit | シネマラインAPS-C、軽量設計 | 約25万円 |
| Sony FX3 | フルサイズ 1200万画素 | 4K120p / 10bit | シネマラインのフルサイズ小型機 | 約45万円 |
| Sony α6700 | APS-C 2600万画素 | 4K120p(クロップ) | 写真・動画両用APS-Cフラッグシップ | 約24万円 |
| Fujifilm X-H2S | APS-C 2600万画素積層 | 6.2K30p / 4K120p | 高速連写と動画性能に強い | 約33万円 |
比較表を見れば、FX30はAPS-C機ながらソニーのCinema Lineらしい性能を備え、FX3やα6700との違いも明確です。価格と軽さのバランスが絶妙で、フルサイズ機に比べ導入コストが抑えられる点も魅力的な選択肢と言えます。
購入者の口コミ
| 良い口コミ | 悪い口コミ |
|---|---|
| S-Cinetoneの映像が素晴らしく、グレーディングなしでも映画っぽく仕上がる | 静止画性能は限定的でサブ用途止まり |
| 冷却ファンがあり長時間撮影でも止まらない安心感がある | APS-Cなのでボケ量はフルサイズに劣る |
| 軽量でジンバル運用しやすく、動画制作の機動力が高い | 価格はAPS-C機としては高めに感じる |
口コミでは「映像の色味が美しい」「軽量で使いやすい」といった高評価が多く見られます。一方で「静止画には不向き」「APS-Cゆえの制約」など注意点も挙がっています。実際の声を参考にすることで購入後のギャップを減らせるでしょう。
総評|このカメラはこんな人におすすめ
Sony FX30は「映画のような映像を撮りたいが、フルサイズは高いし重い」という人に最適なシネマカメラです。Cinema Lineらしい画作りや映像機能をAPS-Cサイズで実現しており、軽量で持ち運びやすく、個人クリエイターから小規模制作まで幅広く対応可能。写真用途は弱いものの、動画専用機としてはコストパフォーマンスが非常に高いモデルです。
まとめ
FX30は、ソニーのCinema Lineの中で最も身近なモデルとして位置づけられています。APS-Cならではの制約はあるものの、その分軽量で価格も抑えられ、動画制作に挑戦したい人にとって大きな一歩となるでしょう。FX3やフルサイズ機に憧れつつも、コストや取り回しを考えるなら、FX30は「最初のシネマカメラ」として理想的です。



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