Panasonic LUMIX S5は、2020年に発売されたフルサイズミラーレスで、Sシリーズの中でも「軽量・コンパクト」さを重視したモデルです。初めて手にしたときの感想は「これで本当にフルサイズ?」という驚き。約714gという持ち運びやすさと、フルサイズらしい高画質を両立しており、旅行から動画制作まで幅広いシーンに対応してくれます。私は実際に取材撮影や日常のスナップで使用しましたが、しっかりしたグリップ感と直感的な操作系により、とても快適に撮影できました。特に動画性能が強力で、映像制作を始めたい人にとってコストパフォーマンスの高い選択肢だと感じました。
特徴と第一印象
S5を初めて触ったときに感じたのは「小型ボディなのに、しっかりした高級感」です。デザインは精悍で、手に持つと剛性感があり安心感がありました。液晶はバリアングル方式で自撮りや動画撮影に便利、EVFも見やすく、長時間の撮影でも疲れにくい印象です。S1シリーズと比べてコンパクト化されながら、動画面は4K60pや10bit記録に対応するなど本格的。操作ボタンは直感的に配置されており、初心者から上級者まで扱いやすい構成になっています。特に動画撮影時の画質の安定感は素晴らしく、色味の自然さや階調の豊かさはLUMIXらしさを存分に感じられます。
実際に使って良かった点

小型軽量で扱いやすい
フルサイズ機ながら重量は約714gと驚くほど軽く、長時間の持ち歩きや旅行撮影でも負担が少ないのが魅力です。実際に街歩きスナップや日帰り旅行で持ち出した際、バッグに入れても重さが気にならず、気軽に「今日は撮るぞ」と思えるカメラでした。S1シリーズがプロ仕様の堅牢ボディで重厚なのに対し、S5は“持ち運べるフルサイズ”として設計されているため、初心者やサブ機需要にもフィットします。
高画質と色再現の自然さ
2420万画素フルサイズセンサーは解像度こそ高画素機に及ばないものの、十分な解像感と自然な色再現性を誇ります。特にポートレート撮影では肌の階調が滑らかで、RAW現像なしでも美しいJPEGを得られるのは大きな強み。風景や夜景撮影でもノイズ耐性が強く、ISO感度を上げても安心できました。LUMIXらしい“実直で素直な色”は編集耐性が高く、後処理でも自由度が大きいです。
動画性能の高さ
S5は動画機としても非常に優秀です。4K60pや10bit内部記録、V-Log搭載など、映像制作の現場でも使える仕様を備えています。実際にYouTube用動画を撮影した際、グレーディング耐性の高さに驚きました。S1HやGHシリーズに匹敵する表現力を持ち、フルサイズのボケ感も活かせるため「映像クリエイターの入門機」としても最適です。価格を考えるとコストパフォーマンスは極めて高いです。
強力な手ブレ補正
ボディ内5軸手ブレ補正とレンズ補正を組み合わせたDual I.S.2は非常に優秀。実際に夜の街スナップを手持ちで撮影しましたが、1/4秒程度までならブレを気にせずシャッターを切ることができました。動画撮影でも歩き撮りが滑らかになり、簡易的なジンバル代わりに感じられるほどです。旅行や日常撮影で三脚なしで撮影できるのは大きな安心感になります。
コストパフォーマンスの高さ
発売から年数が経ち、2025年時点で中古相場は15万円前後とかなりお得になっています。静止画も動画もフルサイズで高水準の画質を得られる点を考えると、同価格帯でここまでバランスの取れたカメラは少なく、初心者から中級者まで幅広くおすすめできるモデルです。
実際に使って気になった点

AF性能の弱さ
S5のAFはコントラストAFをベースとした「DFD方式」で、ソニーやキャノンの位相差AFと比べると動体追従は明らかに劣ります。子どもやペットが走る場面ではピントを外すことがあり、スポーツや動物撮影には向きません。最新のS5IIでは像面位相差AFを搭載し改善されているため、AF重視の方は新機種を検討すべきでしょう。
連写性能の物足りなさ
静止画の連写は約7コマ/秒と、APS-Cの高速連写機に比べるとかなり控えめ。風景やスナップでは十分ですが、野鳥やモータースポーツのような決定的瞬間を狙う撮影では力不足を感じます。RAW連写時はバッファが早めに詰まり、連続撮影性能が限られる点も注意が必要です。
動画の発熱問題
小型化の代償として冷却性能が弱めで、長時間の4K撮影では発熱による制限がかかることがあります。特に真夏の屋外撮影では、時間制限を意識する必要がありました。長回しを想定する映像制作者は外部レコーダーやファン付きのリグを利用すると安心です。
バッテリー持ちの短さ
軽量化のためバッテリーも小型化されており、撮影枚数はCIPA基準で約440枚。動画撮影ではさらに消耗が早く、実際に4K撮影を数時間続けると予備バッテリーが必須でした。旅行やイベント撮影など長時間の運用では、2〜3個の予備を持ち歩くのが現実的です。
型落ち感
2020年発売のため、AFや連写性能などは最新機種に劣る部分が目立ちます。特にS5IIやS5IIXが登場した今、比較すると進化の差を実感します。ただし価格差を考えると、S5を「安く入手できる高性能フルサイズ機」として選ぶのは依然として合理的です。
スペック表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発売日 | 2020年9月 |
| センサー | フルサイズ CMOSセンサー |
| 有効画素数 | 約2420万画素 |
| 連写性能 | 約7コマ/秒 |
| 動画性能 | 4K60p / 10bit内部記録 |
| 手ブレ補正 | 5軸ボディ内手ブレ補正 + Dual I.S.2 |
| 重量 | 約714g(バッテリー込) |
| 価格 | 約14〜16万円(2025年時点) |
他機種との比較
| モデル | 画素数 | 重量 | 動画性能 | 特徴 | 価格目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| LUMIX S5 | 2420万画素 | 714g | 4K60p / 10bit | 軽量フルサイズの入門機 | 約15万円 |
| LUMIX S1 | 2420万画素 | 1021g | 4K60p | 堅牢ボディで静止画向き | 約18万円(中古) |
| Sony α7 IV | 3300万画素 | 658g | 4K60p | 静止画・動画バランス型 | 約33万円 |
| Canon EOS R6 | 2010万画素 | 680g | 4K60p | 高感度性能に強い万能機 | 約28万円 |
よくある口コミを紹介
良い口コミ
- 「軽量コンパクトで旅行に最適。フルサイズなのに肩が凝らずに持ち歩ける」
- 「色再現が自然でポートレートも風景もきれい。JPEG撮って出しで満足できる」
- 「動画性能が素晴らしく、V-Log搭載で編集耐性が高い。価格を考えると破格の内容」
- 「ボディ内手ブレ補正が効くので、夜景や手持ち動画でも安心感がある」
悪い口コミ
「発売から時間が経ち、最新機種と比べると機能面で見劣りする部分がある」
「AFが迷いやすく、子どもや動物の撮影では不満が残る」
「動画を長時間撮ると熱停止することがある。夏場は特に注意」
「バッテリーの持ちが短く、予備を必ず持ち歩かないと安心できない」
総評
LUMIX S5は「軽量コンパクトなフルサイズ」でありながら、本格的な動画機能を備えたオールラウンダーです。静止画性能も高く、色再現はLUMIXらしい自然さが魅力。ただしAF性能やバッテリー面では最新機に劣る部分があり、動体メインの撮影には不向きです。それでも価格を考えれば、これからフルサイズに挑戦する人にとって最適解の一台だと言えるでしょう。




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