大型バイクといえば、その圧倒的な加速性能や存在感が魅力ですが、同時に 「燃費の悪さ」 も避けて通れない課題です。
特にリッターバイク以上では、1リットルあたり10〜15km程度しか走らないモデルもあり、燃料費や給油回数に悩まされるライダーも少なくありません。
この記事では、2025年現在、国内で現行購入可能な400cc超の大型バイクを対象に、レビューやユーザー実測を参考にした燃費が悪いモデルTOP10をランキング化しました。
なぜ燃費が悪いのか、その背景や技術的特徴についても詳しく解説します。
燃費が悪いバイクを選ぶメリット・デメリット
大型バイクの中でも「燃費が悪い」とされるモデルは敬遠されがちですが、必ずしもデメリットだけではありません。ライダーの求める価値によっては、燃費の悪さを補って余りある魅力を持っています。ここではそのメリットとデメリットを整理します。
✅ メリット
圧倒的なパワーと加速性能
燃費が悪いバイクの多くは大排気量エンジンや過給機付きモデルで、200PSを超えるような圧倒的なパワーを発揮します。燃費効率を犠牲にしてでも得られる加速力や高速域での安定感は、他には代えがたい魅力です。
豪華装備や快適性の高さ
ツアラーやフラッグシップモデルは重量級の装備を備えているため燃費が悪化しますが、その分装備は充実。電動スクリーン、大型カウル、電子制御サスなど、長距離走行を快適にする仕様が多いのも特徴です。
唯一無二の存在感
大排気量・ハイパフォーマンス車は車格も大きく、見た目の迫力は抜群。「所有すること自体がステータス」といえるモデルが多く、ライダーの満足感や周囲からの注目度も高いです。
⚠️ デメリット
燃料コストが高い
燃費が悪いバイクは、1回の給油で走れる距離が短くなり、燃料費がかさみます。特にツーリングで長距離を走るライダーにとっては大きな負担になるでしょう。
給油回数が増える
10〜15km/L程度しか走らないモデルでは、航続距離が200〜250km程度に留まることもあります。結果としてツーリング中に給油の頻度が多くなり、計画的なルート選びが必要です。
維持費全般が高い
燃費の悪さは燃料代だけでなく、ハイパフォーマンスエンジンの維持にも影響します。高性能ゆえにオイルやタイヤへの負担も大きく、総合的なランニングコストは高額になります。
燃費が悪い大型バイクランキングTOP10
| 順位 | モデル名 | メーカー | 実測燃費 | カタログ燃費 | 排気量 | エンジン形式 | 新車価格(税込) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | Kawasaki Z H2 SE | カワサキ | 約14.8km/L | 17.1km/L(WMTC) | 998cc | 直列4気筒+スーパーチャージャー | 約225.5万円 |
| 2位 | Kawasaki Ninja H2 Carbon | カワサキ | 約13.0km/L | ― | 998cc | 直列4気筒+スーパーチャージャー | 約363万円 |
| 3位 | Suzuki GSX-R1000R | スズキ | 約14〜15km/L | ― | 999cc | 直列4気筒 | 約215万円 |
| 4位 | Yamaha YZF-R1M | ヤマハ | 約14.2km/L | 15.2km/L(WMTC) | 997cc | 直列4気筒 | 約328.9万円 |
| 5位 | Suzuki GSX-S1000 | スズキ | 約18.7km/L | 17.0km/L(WMTC) | 998cc | 直列4気筒 | 約150.7万円 |
| 6位 | Honda CBR1000RR-R | ホンダ | 約14〜16km/L | 15.4km/L(WMTC) | 999cc | 直列4気筒 | 約248.6万円 |
| 7位 | Honda CB1300 Super Four | ホンダ | 約12〜15km/L | 16.8km/L(WMTC) | 1284cc | 直列4気筒 | 約172.7万円 |
| 8位 | Honda Gold Wing GL1800 | ホンダ | 約10〜15km/L | 14.9km/L(WMTC) | 1833cc | 水平対向6気筒 | 約374万円 |
| 9位 | Triumph Rocket 3 R | トライアンフ | 約16.0km/L | ― | 2458cc | 直列3気筒 | 約265.3万円 |
| 10位 | Kawasaki Ninja ZX-10R | カワサキ | 約15.1km/L | 17.3km/L(WMTC) | 998cc | 直列4気筒 | 約206.2万円 |
各モデル詳細解説
1位:Kawasaki Z H2 SE

| バイク名 | Kawasaki Z H2 SE |
|---|---|
| メーカー | カワサキ |
| 新車販売価格 | 約2,255,000円 |
| 中古平均価格 | 約190〜230万円 |
| 実測燃費 | 約14.8km/L |
| カタログ燃費 | 17.1km/L(WMTC) |
| タンク容量 | 19L |
| 排気量 | 998cc |
| エンジン形式 | 水冷4スト直列4気筒+スーパーチャージャー |
| 最高出力 | 200PS |
Z H2 SEは、カワサキが誇るスーパーチャージャー付きストリートファイター。998cc直列4気筒+SCで200PSを発揮する怪物マシンです。実測燃費は約14.8km/Lと、大型ネイキッドの中でもワーストクラス。燃費が悪い理由は、過給機による燃料消費量の多さに加え、重量級の装備(電子制御サス、Bremboブレーキ)が車体負荷を増やしている点にあります。街乗りでも回転数が高くなりがちで、燃費低下は避けられません。
2位:Kawasaki Ninja H2 Carbon

| バイク名 | Kawasaki Ninja H2 Carbon |
|---|---|
| メーカー | カワサキ |
| 新車販売価格 | 約3,630,000円 |
| 中古平均価格 | 約300〜380万円 |
| 実測燃費 | 約13.0km/L |
| カタログ燃費 | ― |
| タンク容量 | 17L |
| 排気量 | 998cc |
| エンジン形式 | 水冷4スト直列4気筒+スーパーチャージャー |
| 最高出力 | 231PS |
リッターバイクの象徴ともいえる「H2 Carbon」は、998cc SCエンジンで最大231PS。実燃費は約13km/Lとさらに悪化。サーキットでの加速性能や最高速追求を前提に設計されており、低回転でもスーパーチャージャーが燃料を多く噴射するため、街乗りでも効率が悪いのが特徴です。燃費を気にするより「世界最速級の公道バイク」というステータスを楽しむモデルです。
3位:Suzuki GSX-R1000R

| バイク名 | Suzuki GSX-R1000R |
|---|---|
| メーカー | スズキ |
| 新車販売価格 | 約2,150,000円 |
| 中古平均価格 | 約140〜200万円 |
| 実測燃費 | 約14〜15km/L |
| カタログ燃費 | ― |
| タンク容量 | 16L |
| 排気量 | 999cc |
| エンジン形式 | 水冷4スト直列4気筒DOHC |
| 最高出力 | 195PS |
スズキのフラッグシップSS「GSX-R1000R」は、軽量かつ200PS近い高出力が魅力。実測燃費は約14〜15km/Lと低めで、街乗りでは10km/L台前半に落ちるケースもあります。SSらしく高回転型のエンジン特性で、パワーバンドを使うほど燃料消費が増大。軽快なハンドリングを誇りますが、燃費効率は後回しの設計思想です。
4位:Yamaha YZF-R1M

| バイク名 | Yamaha YZF-R1M |
|---|---|
| メーカー | ヤマハ |
| 新車販売価格 | 約3,289,000円 |
| 中古平均価格 | 約250〜320万円 |
| 実測燃費 | 約14.2km/L |
| カタログ燃費 | 15.2km/L(WMTC) |
| タンク容量 | 17L |
| 排気量 | 997cc |
| エンジン形式 | 水冷4スト直列4気筒DOHC |
| 最高出力 | 200PS |
MotoGP直系の技術を持つR1Mは、実測で約14.2km/L。WMTCでも15.2km/Lと公式に「燃費は悪い」と公表されています。高回転を常用するクロスプレーン直4エンジンは燃費効率が低く、加えて200PS級の出力を生かす走行では燃費が急降下します。サーキット志向のライダーに最適化された一台です。
5位:Suzuki GSX-S1000

| バイク名 | Suzuki GSX-S1000 |
|---|---|
| メーカー | スズキ |
| 新車販売価格 | 約1,507,000円 |
| 中古平均価格 | 約110〜140万円 |
| 実測燃費 | 約18.7km/L |
| カタログ燃費 | 17.0km/L(WMTC) |
| タンク容量 | 19L |
| 排気量 | 998cc |
| エンジン形式 | 水冷4スト直列4気筒DOHC |
| 最高出力 | 150PS |
スーパースポーツ「GSX-R1000」の心臓をネイキッド化したGSX-S1000。実測燃費は約18.7km/Lで、他のワースト上位よりはマシですが、それでもリッター直4としては低め。ストリート寄りにチューニングされていますが、トルクフルな中速域を多用すると燃料消費が増えやすい傾向があります。
6位:Honda CBR1000RR-R

| バイク名 | Honda CBR1000RR-R |
|---|---|
| メーカー | ホンダ |
| 新車販売価格 | 約2,486,000円 |
| 中古平均価格 | 約180〜230万円 |
| 実測燃費 | 約14〜16km/L |
| カタログ燃費 | 15.4km/L(WMTC) |
| タンク容量 | 16L |
| 排気量 | 999cc |
| エンジン形式 | 水冷4スト直列4気筒DOHC |
| 最高出力 | 218PS |
ホンダの誇る「Fireblade」は、レース直結モデルとして開発。実測燃費は14〜16km/Lと低く、街乗りではさらに悪化。圧縮比13.6:1という高圧縮設計が燃料消費を増大させており、燃費よりも出力とレスポンスを徹底的に追求したマシンです。
7位:Honda CB1300 Super Four

| バイク名 | Honda CB1300 Super Four |
|---|---|
| メーカー | ホンダ |
| 新車販売価格 | 約1,727,000円 |
| 中古平均価格 | 約120〜160万円 |
| 実測燃費 | 約12〜15km/L |
| カタログ燃費 | 16.8km/L(WMTC) |
| タンク容量 | 21L |
| 排気量 | 1284cc |
| エンジン形式 | 水冷4スト直列4気筒DOHC |
| 最高出力 | 110PS |
長年愛される大排気量ネイキッドの代表格。1284cc直列4気筒エンジンはトルクフルですが、実測燃費は約12〜15km/Lと重たい。270kgを超える重量が影響しており、ツーリングではまだマシでも、街乗りでは頻繁な加減速で燃料消費がかさみます。「味わい」と「安定感」を優先したモデルです。
8位:Honda Gold Wing GL1800

| バイク名 | Honda Gold Wing GL1800 |
|---|---|
| メーカー | ホンダ |
| 新車販売価格 | 約3,740,000円 |
| 中古平均価格 | 約300〜400万円 |
| 実測燃費 | 約10〜15km/L |
| カタログ燃費 | 14.9km/L(WMTC) |
| タンク容量 | 21L |
| 排気量 | 1833cc |
| エンジン形式 | 水冷4スト水平対向6気筒 |
| 最高出力 | 126PS |
1833cc水平対向6気筒を搭載する「キング・オブ・ツアラー」。実燃費は約10〜15km/Lと極めて低い部類に入ります。豪華装備と重量370kg超の巨体が燃費悪化の要因。航続距離は大きなタンクでカバーされますが、給油量も大きく経済性は最も悪い部類です。
9位:Triumph Rocket 3 R

| バイク名 | Triumph Rocket 3 R |
|---|---|
| メーカー | トライアンフ |
| 新車販売価格 | 約2,653,000円 |
| 中古平均価格 | 約220〜280万円 |
| 実測燃費 | 約16.0km/L |
| カタログ燃費 | ― |
| タンク容量 | 18L |
| 排気量 | 2458cc |
| エンジン形式 | 水冷4スト直列3気筒 |
| 最高出力 | 167PS |
世界最大の2458cc並列3気筒エンジンを搭載。実測燃費は約16km/L。驚異的なトルクと加速性能は魅力ですが、排気量の大きさから燃費は期待できません。加えて車体重量も290kgとヘビー級で、走行状況次第ではさらに悪化します。燃費よりも圧倒的パフォーマンスを求めるライダーに向いたモデルです。
10位:Kawasaki Ninja ZX-10R

| バイク名 | Kawasaki Ninja ZX-10R |
|---|---|
| メーカー | カワサキ |
| 新車販売価格 | 約2,062,800円 |
| 中古平均価格 | 約160〜200万円 |
| 実測燃費 | 約15.1km/L |
| カタログ燃費 | 17.3km/L(WMTC) |
| タンク容量 | 17L |
| 排気量 | 998cc |
| エンジン形式 | 水冷4スト直列4気筒DOHC |
| 最高出力 | 203PS |
スーパーバイク世界選手権で実績を誇るZX-10R。実測燃費は約15.1km/Lと、やはりリッタースーパースポーツらしい低さ。高回転を維持して走るほど燃費は落ち込み、街乗りでは10km/L台前半も珍しくありません。サーキットを意識したギア比や高出力チューニングが燃費効率を犠牲にしています。
まとめ
燃費が悪い大型バイクには共通点があります。
- 過給機や高回転型の高出力エンジン
- 重量級の車体や豪華装備
- サーキットやロングツアラー向けの設計思想
結果として、街乗りでは10〜15km/L程度、ツーリングでも20km/Lを超えることは少ないのが現実です。
しかし、燃費の悪さは「高性能の裏返し」でもあります。最高峰の加速、豪華な装備、そして唯一無二の存在感。燃費を犠牲にしても、それ以上の体験を求めるライダーにとっては十分に魅力的な選択肢となるでしょう。













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