バイクに乗る人なら誰でも一度は思ったことがあるはずです。
「雨の日って、タイヤの空気圧はこのままで大丈夫なの?」
晴れの日と違って滑りやすい路面。少しでもグリップを高めたいなら、空気圧を下げた方がいいのでは?と思うかもしれません。
この記事では、雨天時のタイヤ空気圧に関する素朴な疑問を徹底解説します。
結論から言うと、「空気圧は変えず、メーカー指定のままでOK」です。
その理由を、物理・タイヤ構造・プロライダーの見解など、あらゆる視点から詳しく解説していきます。
この記事でわかること
• 雨の日のバイク空気圧を変えるべきか?
• 空気圧を下げると本当にグリップが上がるのか?
• プロはどうしている?雨天時のセッティング事情
• 空気圧を変えることで起こるリスクとは
• 実際のライダーの体験談と正しいメンテナンス法
雨の日は空気圧を変えるべき?結論は「変えない」
まず、先に結論を明確にしておきます。
「雨の日に空気圧を変える必要はありません」
なぜなら、メーカーが設定している空気圧は「幅広い環境下で安全に走行するための最適値」だからです。
この指定値は、気温、荷重、路面状況など様々な要素を踏まえて決定されています。
雨だからといって空気圧を自分でいじると、逆に走行安定性が損なわれたり、危険が増すこともあります。
空気圧を下げればグリップが上がるって本当?

たしかに「空気圧を下げると接地面積が広がり、グリップが上がる」という話は、理論的には正しい部分もあります。
特にオフロードやサーキットなど、特定の条件下ではそういった調整が行われることも事実です。
しかし、これはあくまでプロレベルの管理下で行われる調整。公道や一般的なバイクでは、以下のようなデメリットが生じます。
| 空気圧を下げた場合のデメリット | 内容 |
|---|---|
| 操作性の低下 | ハンドリングが鈍くなり、カーブで膨らみやすくなる |
| 燃費の悪化 | 接地面積が広がることで抵抗が増え、燃費が落ちる |
| タイヤの偏摩耗 | 不均一な摩耗が発生しやすく、寿命を縮める可能性あり |
| ハイドロプレーニング現象のリスク増 | 水をしっかり排水できず、タイヤが浮く危険が高まる |
特に注目すべきは「ハイドロプレーニング現象」。
これはタイヤと路面の間に水の膜ができてしまい、接地しなくなる現象。空気圧が適切であれば水を押し出せるのに、下げることでその能力が低下します。
プロライダーはどうしてる?レースと公道の違い

レースの世界では、雨の日のセッティングとして「空気圧を若干下げる」ことはあります。
しかしこれも、レインタイヤという専用の設計が施されたタイヤを使い、空気圧、温度、速度すべてを計算した上での話です。
市販車に装着されている通常のラジアルタイヤやバイアスタイヤでは、雨専用の構造を持っていないため、空気圧を変えてもリスクの方が大きいのです。
メーカーの指定空気圧はどれくらい重要?
バイクメーカーは、車体の重量配分・タイヤの種類・平均的なライダーの体格や使用環境など、何百ものデータをもとに「適正空気圧」を設定しています。
雨の日だからといって変える必要はなく、逆にこまめにその「指定値」を維持することが一番の安全対策になります。
また、寒い雨の日はタイヤの温度も上がりにくく、適正空気圧よりも自然と少し低めになっていることもあります。下げるどころか、むしろ指定値ピッタリを意識するべきです。
雨の日の空気圧チェックはどうする?
✅出発前に行うべきチェック項目:
• エアゲージで空気圧を確認
• タイヤに異物やひび割れがないかチェック
• タイヤの溝がしっかりあるか確認(1.6mm以上)
雨の日は特に「トレッドパターン(溝)」が重要。
すり減っていると排水性が落ち、グリップが極端に悪くなります。
雨の日に本当に意識すべきポイントは?
空気圧を下げることではなく、「正しい空気圧をキープすること」こそが重要です。
そのうえで、以下のポイントも抑えておきましょう。
| 雨の日に意識すべきこと | 理由 |
|---|---|
| タイヤの溝チェック | 排水性に直結。1.6mm以下は即交換 |
| 無理なバンクを避ける | グリップ限界が低下しているため |
| 急発進・急ブレーキをしない | ハイドロプレーニング防止のため |
| レインウェアやグローブの装備 | 操作ミスや視界不良の対策 |
雑学:F1やMotoGPでは空気圧管理が超シビア!
プロの世界では「雨の日=空気圧の調整あり」は常識。
しかし彼らは、タイヤ温度・走行距離・速度・天気を秒単位でモニターしています。
F1ではレース前にタイヤウォーマーで80℃近くまで加熱し、最適空気圧に調整。MotoGPでも同様に、1周走った後の空気圧と温度で次のセッティングを変えるほど繊細です。
これほど厳密な環境で行われている調整を、一般ライダーが真似するのは無謀とも言えます。
まとめ:空気圧は「指定値を守る」が最強の雨対策

最後にポイントをまとめます。
✅ 雨の日のタイヤ空気圧の真実
• 空気圧は下げず、メーカー指定値を守るのが基本
• 空気圧を変えるとハンドリング悪化や事故リスクが高まる
• 溝の深さやブレーキ操作など、空気圧以外の安全対策が重要
• 空気圧管理は、安全・燃費・タイヤ寿命すべてに影響する
「ちょっと空気圧をいじれば安心かも…」と思ってしまう雨の日こそ、
「変えずに守る」という冷静な判断が、安全なバイクライフを支えてくれます。



コメント