Kawasaki Z H2 SEは、998ccのスーパーチャージド・インライン4気筒エンジンを搭載した究極のネイキッドモデルです。圧倒的な加速と存在感を誇り、カワサキの最新電子制御サスペンション「KECS」やBrembo Stylemaキャリパーなど、プレミアムな装備を標準で備えています。サーキットでも公道でも妥協のない性能を発揮する一方で、重量や維持費の高さといった弱点があり、購入後に「もっと調べておけばよかった」と後悔する声も少なくありません。この記事では、Z H2 SEのスペックや評価を整理し、後悔を避けるためのポイントをまとめます。
Kawasaki Z H2 SEのスペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実測燃費 | 通勤・街乗りで約 9〜11 km/L 高速・ツーリングで約 17~20 km/L |
| カタログ燃費(WMTCモード) | 17.1-17.4 km/L(クラス 3-2、1名乗車時) |
| 排気量 | 998 cc |
| エンジン形式 | 水冷4ストローク DOHC 並列4気筒 スーパーチャージャー付 |
| 新車価格(税込) | 約 ¥2,475,000)2026年日本国内仕様 |
| 車両重量 | 約 241 kg(装備重量) |
| 新車価格(2025年モデル税込) | 約 ¥2,343,000 |
| 中古車平均価格 | おおよそ ¥200万円前後~¥230万円台(年式や走行距離による) |
Z H2 SEは、197馬力を発揮する998cc直列4気筒スーパーチャージドエンジンを搭載し、圧倒的な加速を実現しています。車体はスチール製トレリスフレームで高剛性と軽量性を両立し、電子制御サスペンション「KECS(カワサキ・エレクトロニック・コントロール・サスペンション)」を装備しており、路面状況や走行モードに応じて減衰力を自動で調整します。さらに、前後にはBrembo Stylemaキャリパーと大径ディスクを組み合わせ、制動力も超一流です。総重量は240kg前後とヘビー級ですが、その重量を補って余りあるエンジンと電子制御のサポートによって、圧倒的な走行体験を提供します。
Z H2 SE と Ninja H2 Carbon の違い

| 項目 | Z H2 SE | Ninja H2 Carbon |
|---|---|---|
| エンジン形式 | 998cc 水冷4ストローク直列4気筒 スーパーチャージャー付き | 同様に 998cc 水冷4ストローク直列4気筒 スーパーチャージャー付き |
| 最高出力 | 200PS 前後(約 200hp) | 同等〜若干上(モデル年によって約 200〜228hp) |
| 最大トルク | 137Nm 前後 | 約 133.5Nm(モデルによる差異あり) |
| 車両重量(装備状態) | 約 240kg | やや軽めまたは同等(約 238kg) |
| 燃料タンク容量 | 19リットル(Z H2 SE) | やや小さめのモデルでは17リットル程度 |
| 前輪ブレーキ(ディスク径) | 320mm Brembo Stylema など高性能キャリパー付き | やや大径または同等、330mmを採るモデルもあり |
| リアブレーキ | 250-260mm 程度のディスク+ABS付き | 同等または若干スポーツ仕様のものあり |
| サスペンション | 前:43mm 倒立フォーク KECS 電子制御サスペンションを含む調整機構あり | 同等の倒立フォーク、よりスポーティな足回り設定のものあり(ブランドやモデル年により Öhlins の採用等) |
| 価格帯(新車) | Z H2 SE: 約 US$21,300(2024年米国価格) | Ninja H2 Carbon: 約 US$35,600(同じく 2024年米国価格) |
Kawasaki Z H2 SE と Ninja H2 Carbon は、共にスーパーチャージド998ccエンジンを持ち、高出力かつ高級装備を備えているという点で多くの共通項があります。しかし、ネイキッド(裸)モデルである Z H2 SE は、より快適性や日常使いを意識した仕様に調整されており、一方で Ninja H2 Carbon はスポーツ向けフルカウルモデルとしてデザインや空力性能、視覚的インパクトを重視しているのが特徴です。
Z H2 SE は電子制御サスペンション(KECS)を標準搭載し、Skyhook調整など路面のギャップをいなしつつ煽り・揺れを抑える快適性が強みです。対して Ninja H2 Carbon はカーボンファイバーのアッパーカウルや特別な外装、よりスポーティーな外見、あるいは軽量感を演出するアクセントが加えられ、「見た目・雰囲気・性能のピーキーさ」を求めるライダー向けの設計です。
また、サスペンションの細部・セッティングや風防性、使用されているブレーキや足回りの部品のグレードにも差があります。Ninja H2 Carbon の方が高速走行やスポーツ走行で有利な設計が多く、一方 Z H2 SE は街乗りやツーリングでの扱いやすさ・快適性を求めるユーザーにとってメリットが大きいと言えます。
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スタイルの違い
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Z H2 SE:ネイキッドタイプ、快適性と日常使いを意識
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Ninja H2 Carbon:フルカウル、空力性能やデザイン重視
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装備の違い
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Z H2 SE:KECS(電子制御サスペンション)標準搭載で快適性に優れる
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Ninja H2 Carbon:カーボンアッパーカウルなど特別装備、よりスポーティーな設計
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出力の違い
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Z H2 SE:最高出力 約200PS
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Ninja H2 Carbon:200~228PS(モデル年によって差あり)
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重量の違い
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Z H2 SE:約240kg
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Ninja H2 Carbon:約238kg前後(やや軽量)
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燃料タンク容量の違い
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Z H2 SE:19L
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Ninja H2 Carbon:17L(やや小さめ)
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ブレーキ/サスペンション
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両者とも高性能装備だが、Ninja H2 Carbon の方がスポーツ走行寄りの設定
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NinjaではÖhlins採用の年式もあり
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価格の違い
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Z H2 SE:約21300ドル(日本価格:約234~247万円)
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Ninja H2 Carbon:約35600ドル(日本価格:約360万円超え)
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オススメな人
| タイプ | 特徴 | ポイント |
|---|---|---|
| 加速中毒派 | スーパーチャージャーの圧倒的パンチ力を楽しみたい人 | 唯一無二の加速フィール |
| 最新装備重視 | 電子制御サスやライディングモードを体感したい人 | KECS搭載で快適性と性能を両立 |
| ブランド志向 | 存在感や所有感を大事にする人 | カワサキの最上級ネイキッド |
| サーキットも走りたい | 公道からサーキットまで楽しみたい人 | ブレーキとサスが本格的 |
| カスタム好き | 外装やマフラーを変えて個性を出したい人 | 豊富なアフターパーツ |
Z H2 SEは、最高峰の加速と装備を求めるライダーにおすすめです。ネイキッドながらスーパーチャージャーのブーストによる暴力的な加速感は唯一無二で、直線加速に快感を覚える人にはこれ以上ない選択肢といえるでしょう。また、電子制御サスペンションや豊富なライディングモードなど先進技術を体験したい人、あるいは「所有感」や「ブランドの特別感」を大切にする人にも向いています。ただし、街乗り中心で軽快さや取り回しのしやすさを求める人には不向きであり、その点を理解しないと後悔につながる可能性があります。
後悔するポイント
| 項目 | 内容 | 回避策 |
|---|---|---|
| 重量 | 取り回しや低速で重く感じやすい | 試乗で確認、慣れと筋力強化で対応 |
| 燃費 | スーパーチャージャーで消費量が多い | 燃費より走りを重視する割り切り |
| 風防性 | 高速走行では風圧が大きい | スクリーン追加で改善 |
| 維持費 | 消耗品や保険代が高額 | 購入前にランニングコストを試算 |
| 操作性 | 電子制御が多く複雑 | 事前にマニュアルで理解 |
Z H2 SEを購入してから後悔しやすいポイントとしてまず挙げられるのが重量感です。取り回しや低速走行では重さがネックとなり、街乗りでの使いやすさを求める人には不向きです。また、スーパーチャージャーを搭載することで燃費は悪化しやすく、ハードに走るとリッター10km台に落ち込むことも珍しくありません。加えて、ネイキッド特有の風防性の低さにより高速道路では体への負担が大きく、ツーリングで疲れやすいという声もあります。さらに、多数の電子制御が搭載されているため、操作に慣れるまで時間がかかることもあり、ここが「思ったより扱いづらい」という後悔につながるケースがあります。
壊れやすさ
| 部位 | 不具合傾向 | 対策 |
|---|---|---|
| 冷却系 | 熱量が大きく管理必須 | LLC交換と定期点検 |
| スーパーチャージャー | オイル管理不足で寿命低下 | 高品質オイル使用と定期交換 |
| 電子制御サス | センサー不良の可能性 | ディーラー点検を欠かさない |
| ブレーキ | パッド消耗が早め | ハード走行時は定期交換 |
| タイヤ | 後輪の摩耗が早い | 適切な空気圧管理と銘柄選び |
Z H2 SEは基本的に信頼性の高い設計ですが、高出力エンジンと複雑な電子制御システムを備えているため、メンテナンスを怠るとトラブルに直結します。特に冷却系の管理は重要で、オーバーヒートやオイル管理不良がスーパーチャージャーに悪影響を及ぼす可能性があります。また、電子制御サスペンションや各種センサーは高価で、故障時の修理費用が大きな負担になり得ます。ブレーキやタイヤといった消耗品も高性能ゆえに摩耗が早く、ランニングコストがかかる点は理解しておく必要があります。
カスタムパーツ
| カテゴリ | カスタム例 | 効果 |
|---|---|---|
| マフラー | フルエキ・スリップオン | 軽量化&迫力のサウンド |
| スクリーン | ロングタイプやスモーク | 防風性の強化 |
| ブレーキ | 高性能パッド・ホース | 制動力と耐フェード性向上 |
| サスペンション | 調整式や強化品 | サーキット対応力強化 |
| 外装 | カーボンパーツやデカール | 軽量化と個性アップ |
Z H2 SEは純正状態でも高性能ですが、オーナーの多くはさらなる性能や快適性を求めてカスタムを施しています。マフラー交換によるサウンドチューニングや軽量化は定番で、スーパーチャージャーサウンドを強調したカスタムは特に人気です。また、フロントスクリーンを追加することで風防性を高め、長距離ツーリングでの快適性を補うことも可能です。サスペンションやブレーキパーツのアップグレードによって、よりハードなサーキット走行にも対応できます。外装やカラーリングをカスタムし、唯一無二のZ H2 SEに仕上げる楽しみ方も多くのライダーに支持されています。
ライバル比較
| 項目 | Z H2 SE | Ducati Streetfighter V4 | KTM 1290 Super Duke R | BMW S1000R |
|---|---|---|---|---|
| エンジン | 直4+SC 998cc | V4 1103cc | Vツイン 1301cc | 直4 999cc |
| 出力特性 | 強烈な中低速トルク | 高回転重視+荒々しさ | 極太トルクと軽快さ | スムーズで高回転寄り |
| 重量 | 重め(約240kg) | やや重い | 軽量 | 軽量 |
| 電子制御 | KECS+豊富なモード | 最新電子制御多数 | 必要十分 | 高精度電子制御 |
| 価格帯 | 中〜高 | 高 | 中 | 中〜高 |
Z H2 SEのライバルは、Ducati Streetfighter V4、KTM 1290 Super Duke R、BMW S1000R、Aprilia Tuono V4といった世界最高峰のネイキッドバイクたちです。Ducatiは荒々しいV4サウンドとプレミアム性、KTMはトルクフルなVツインと軽快さ、BMWは精密な電子制御と軽量さ、Apriliaは万能型のハンドリングと高回転フィールが特徴です。その中でZ H2 SEは「スーパーチャージャーによる圧倒的な中低速トルク」と「豪華装備」が強みとなり、唯一無二の立ち位置を確立しています。ただし、重量や燃費といった弱点を考慮し、どの要素を重視するかで選択肢が変わってきます。
口コミ
| 良い口コミ | 悪い口コミ |
|---|---|
| 加速感が圧倒的で病みつきになる | 燃費が悪い |
| 電子制御サスの乗り心地が快適 | 重くて街乗りでは持て余す |
| 存在感が抜群で所有感が高い | 取り回しが大変 |
| ブレーキ性能が安心感を与える | 維持費が高額 |
| スーパーチャージャーサウンドが魅力 | 熱がこもりやすい |
オーナーの口コミでは「スロットルを開けた瞬間の加速感が中毒になる」「電子制御サスペンションが優秀で乗り心地が良い」といった高評価が多く見られます。一方で「燃費が悪すぎる」「街乗りでは持て余す」「重くて取り回しが辛い」といったネガティブな声も存在します。つまり、走りの楽しさを重視する人にとっては最高の評価を得られる一方で、実用性を求める人には後悔の声が出やすい傾向があるといえるでしょう。
評価
| 評価項目 | 点数 | 星 |
|---|---|---|
| デザイン・存在感 | 5/5 | ★★★★★ |
| エンジン性能 | 5/5 | ★★★★★ |
| 快適性 | 4/5 | ★★★★☆ |
| カスタム性 | 4/5 | ★★★★☆ |
| コストパフォーマンス | 3/5 | ★★★☆☆ |
Z H2 SEの評価を総合すると、デザインや存在感は満点に近く、エンジン性能も群を抜いています。電子制御の完成度も高く、スポーツ走行と快適性を両立している点は大きな魅力です。ただし、維持費や重量といった点でバランスを欠く部分があり、万人向けではありません。したがって「究極の加速と豪華装備を楽しみたい人」にとっては最高の評価となり、「軽快さや実用性を重視する人」にとっては低評価となる、非常に二極化した評価が特徴です。
中古市場
| 年式 | 走行距離 | 価格帯 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 2022年以降 | 1万km未満 | 180〜220万円 | 高年式は新車に近い価格 |
| 2020〜2021年式 | 1〜2万km | 150〜180万円 | 整備記録と電子制御の状態確認必須 |
| 2019年式 | 2万km以上 | 120〜150万円 | 消耗品の交換歴を重視 |
Z H2 SEの中古市場は比較的流通量が少なく、価格も高止まりする傾向があります。特に電子制御サスペンションを搭載したSEグレードは需要が高く、走行距離が少ない車両は新車に近い価格で取引されるケースもあります。一方で、メンテナンス記録がしっかり残っている個体は信頼性が高く、長く乗れる可能性があるため、中古を狙うなら履歴の確認が必須です。
まとめ
Kawasaki Z H2 SEは、スーパーチャージドエンジンと最新の電子制御を組み合わせた、唯一無二のハイパーネイキッドです。加速と装備に妥協したくないライダーにとっては最高の選択肢ですが、重量や燃費、維持費の高さといった弱点を理解していないと後悔につながります。購入を検討する際には、街乗りやツーリングでの使い勝手、メンテナンスコスト、そして自分のライディングスタイルとの相性をよく考えることが大切です。そのうえで選べば、Z H2 SEは圧倒的な満足感と所有感を与えてくれる一台になるでしょう。




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